さまざまな理由が重なった結果極度の燃料不足が発生したと考えられます。
まず何よりも被災したエリアが広大だったこと。加えて多くの石油設備が被災しました。製油所の爆発炎上は大変ショッキングな事故でした。また数多くのガソリンスタンドも被災したり停電などによって稼働できませんでした。そこに緊急車両等や重要設備への優先給油、さらに買いだめ行動によって需要が膨れ上がり、被災地以外の地域でも燃料不足が発生しました。企業の事業継続に必要となる燃料の確保は、平時のうちに明確な方針を立てた上で信頼できる販売業者と情報交換しておきましょう。
東日本大震災を教訓に、災害時における燃料油の安定供給を目的に災害対応型ガソリンスタンドの整備が進められています。発電機を装備するなどして停電時でも出荷できる体制を整えていますが、災害発生時には登録された緊急車両への給油が優先されることになっています。
一般個人や企業は非常時において充分な燃料の供給を受けられない可能性があります。事業継続計画を立てる場合は、必要となる燃料の種類や量を明確にし、入手が困難になるということを前提に組み立てておく必要があります。
タンクローリーには大きく分けて2種類あります。大量輸送用大型ローリーと配送用小型ローリーです。それぞれ特徴があります。
大型ローリーは一度に大量の燃料を輸送できますが、受け入れ設備がなければ荷おろしできません。また荷おろし数量も2KLもしくは4KLの一括荷おろしとなります。
これに対して配送用小型ローリーは、大型と比べて輸送できる数量は多くはないものの給油装置を装備しているのでポリタンクから地下タンクまで幅広く給油業務をおこなうことができます。災害時では、この機動力が大きな力になります。
燃料は専用容器でなければ貯蔵や運搬はできません。特にガソリンを取り扱う場合、ポリ容器などに入れると静電気が発生などして引火爆発する場合があり大変危険です。貯蔵や運搬だけでなく、取扱い作業にも専用の設備や機材が必要です。また、作業を行うためには、知識を持った資格者が必要です。
弊社のスタッフは全員が有資格者で対応にあたり、万一の場合に備え専用の設備・機材も備蓄しています。
重要な拠点にはあらかじめ発電機などが設置されています。災害時はそういった据付設備とは別に、臨時に大小の発電機が設置されることも少なくありません。燃料供給はそうした臨時設備が置かれた場所でも行う必要があります。
据付設備であれば荷受け設備が整えられ、災害訓練などを通じて課題も整理されていると思います。ところが臨時設備の場合は、他の復旧活動などと干渉する可能性もあり、より柔軟な対応が必要となります。
多くの石油販売業者は経営合理化のため、配達業務を積極的に取り組んでいません。たとえガソリンスタンドが稼働していたとしても、配達してもらえなければ燃料を買いに走らなくてはなりません。当然容器も必要になります。災害対応で人手がいくらでも欲しいような状況下であればできれば避けたい行為です。
こういった観点からも、災害時には“配達”ができることが大変重要です。
燃料の配達を専門に行う当社だからできるノウハウがあります。地下タンクからポリタンクまで、発電機から暖房機器まで、あらゆるタンク・設備への給油に対応することができます。
事業継続計画を策定される時には、非常時においても任せられる燃料の配達業者を決めておきましょう。
ライフラインといえば、電気、水道、ガス、通信などを言いますが、燃料もライフラインとしてあげたいと思います。昨今石油はガスなどの他のエネルギーに取って代わられています。しかし非常時には最も扱い易く安定しているエネルギーであることに疑いの余地はないでしょう。東日本大震災の際には石油の有用性が見直されました。しかし、現実には石油業界では需要減少を受けて合理化が進められています。油槽所や給油所、タンクローリーの数はどんどん減っています。また油槽所、配送、給油業務は、分業が進みそれぞれを専門に扱う企業が担うようになっています。石油流通の業務が別々に扱われることによってライフラインたるべき“線”が線でなくなっています。当社では、燃料の貯蔵(油槽所運営)から配送、給油業務(小口配送)まで一貫した体制を構築しています。
「油断大敵」といいますが、最後の砦は石油エネルギーです。私たちは、顧客にとって本当のライフラインになりたいと思います。
災害が発生すると非日常が日常になります。平時での災害訓練は非常に大事なことです。しかし“想定外”も受け入れなければなりません。道路は障害物に阻まれ、給油設備は損壊する、あるいは建物周辺が壊れて近づけないということもあるでしょう。場合によっては、給油口近くが支援物資置き場に変わってしまっているかもしれません。
パトロール給油は毎日状況が変わる現場でこそ力を発揮する業務です。臨機応変な対応は最も得意とするところです。
連絡体制を明確にするため各責任者を定めています。緊急時連絡先としては、固定電話、携帯電話に加え、衛星電話も4台備えており重要拠点に即座に展開します。
緊急時配送担当ドライバーは事前登録制をとっており、現在登録者は45名です。(平成25年3月現在)
燃料を長期間貯蔵したままにすると変質したり、スラッジと呼ばれる“ゴミ”がタンクの底に堆積します。
この状態で、長時間運転を行うと最悪の場合発電機が停止する場合があります。災害発生時、発電機が首尾よく始動したもののしばらくして停止した、という事にもなりかねません。そこで定期運転では、始動を確認する程度の短時間運転ではなく半日程度稼働させましょう。また必要に応じて燃料の入れ替え、タンクの清掃をお勧めします。
特に通常のA重油を使用している場合はスラッジの量も多く、注意が必要です。